ぐらんぴ日記

mixi上で「ぐらんぴ」が書いている日記の引っ越し版です。文字サイズ変更できます。

人民の、の「の」は何の「の」?


今朝がた本棚の整理をしていたら『音読王』(井上一馬、小学館、02/10)というのが出てきた。
英語の名文を集め、それに朗読の CD をつけたもの。ちょっと勉強してみようかと思って買ったのだが、本棚の奥に突っ込んで「積ん読王」になっていた。(^_^;)
その最初のほうの「スピーチの力」の項目の冒頭には、あの有名な、キング牧師の『私には夢がある I have a dream』が載っていた。たぶんこれが目的だったんだろうと思う(かねてから暗記してみたいと思っていた。それで英文の朗読を聞いてみたかったのだろう)。
そうしたら、そのあとにリンカーンのゲティスバーグ演説があった。あの有名な、

that government of the people, by the people, for the people
……

っていう名文句があるやつ。
そこで思い出したのだ。
ふつうこれは「人民の、人民による、人民のための政府」と訳される。この書でもそうだ。

だけどね、分からないのは最初の、government of the peopleの訳。これ、たぶん中学か高校で最初に読まされた時から抱いていた疑問。

of the people の of って何?

by the peopleの by も、for the peopleの for も、その意味は一目瞭然である。「~による」、「~のための」の和訳でスンナリ理解できる。
しかし of the people の of は単に「~の」と略しただけではどんな意味か分からない。日本語の助詞「の」だっていろんな意味がある。of だってそうだ。単純に「の」に置き換えただけではダメだろう~、本当はどういう意味なんだ、教えてくれ~と昔から思っていた。

その時、頭にあったのは、
この of は無くてもいいのでは。by と for だけで 意味は通じるじゃん

そうだ、今は twitter がある。じゃあ聞いてみようと思って「このofはどういう意味?」とツイートしたら、3人のかたから回答があった。

(1)単に「人民政府」と思えばいいのでは、東京大学を「University of Tokyo」と言うのと同じ。
(2)「所有」の意味ではないかな。「人民が所有する政府」
(3)目的格を示すのではないか(確かに辞書にある)。ちなみにもしそうだとすれば、government は動詞 govern(統治する)の名詞形とされる。ここでは「統治すること」という意味。その統治の対象(目的とするもの)が people だというわけね。

かろうじて納得できるのは(2)。中国語訳は「有人民」。彼らもそう思っているらしい。
(1)は質問の意味を理解していなくて、私が「それ(University of Tokyo)は所在を示すof だろうが」と言うと、あとから、
(4)「構成」ではないか。「人民が構成する政府」
――と言ってきた。
これは分からなくもない。ofには「材料、成分」という意味があり、made of ~とすればよく分かる。「人民によって成り立っている=人民によって構成される」。
しかし(3)も気になる。目的格用法とすれば、こう言い替えられる。

人民によって、人民のために、人民を統治すること。

統治すること=統治形態=政府 とすれば、意味はとおる。けれど何かまわりくどい。
そうしたら、(3)の人はいろいろ調べてくれて、

(5)「人民による、人民のための」を説明要約する形の of 。

という説を教えてくれた。
すなわち「この政府――すなわち人民による、人民のための政府」と言いたかったのだ、と。

おお、と思ったのは、最初から(中学生の)私が思った「by と for だけでいいじゃん」というのが、これで見事に説明できるからだ。

この疑問のまとめサイトみたいなのまである。興味がある人は読んでみてほしい。

http://bit.ly/dAcR6U

――しかし、この疑問は日本人だけでなく、英語国民のなかでもひろく抱かれていた疑問だったのだね。

これによると、(3)の目的格用法は、ネイティブスピーカーから「バカじゃないの」と言われてる(言われてるのは丸谷才一だが(笑))。どうも無理があるようだね。英語国民からみて、やはり(5)の「補足説明、まとめ(つまり、すなわち~)が続く」というのがスンナリ腑に落ちる。
リンカーンは演説した時、of the people と言って、少し間を空けたのではないか、と想像してみたまえ。単に of としただけではその示す意味が多義にわたりすぎる、だから「それはこういう意味の of だ」として、by the people, for the peopleとつけ加えたのであろう――というのが彼らの説明。なるほど~。

まあ、まとめサイトでも主に5つの説があるのだから、明快に言い切れないけれどもね。学校でもちゃんとここらへんを説明してくれないとダメですよ、先生。
さて、諸氏はどの説に納得するであろうか。
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官能作家・館淳一。趣味は路上観察、雑学研究からセーラー服ウォッチング、美女装子探しまで、なんでも探索。
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