ぐらんぴ日記

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草原の輝き






twitter で柳美里が『草原の輝き』についてツイートしています。

草原の輝き

もとはワーズワースの詩の一節なのですが、私は映画によってこのフレーズを知りました。柳美里もそうなんですね。1961年、エリア・カザン監督、ナタリー・ウッドとウォーレン・ビーティ(ベイティのほうが発音が近いが)。原作脚本でウィリアム・インジがアカデミー賞をとっています。

高校時代の私がナタリー・ウッドにイチコロにされてしまった作品で、映画について語りだしたらとまらないのでそれはさておいて。

ここではもとになったワーズワースの詩について。

Though nothing can bring back the hour
of splendor in the grass,
of glory in the flower,
We will grieve not, rather find
the strength in what remains behind.

草原の輝き 花の栄光
再びそれは還(かえ)らずとも
なげくなかれ
奥に秘められたる力を見いだすべし

------ODE: Intimations of Immortality (高瀬鎮夫訳)


splendor in the grass

これをどうして「草原の輝き」と訳すのか(高瀬訳以外でも、ほとんどがそう訳している)最初に知った時から不思議だったんですね。
grassは「葉」という意味もありますし「草地」という意味もあります。
「草原」と訳してももちろん間違いではありません。
しかし、この詩の文脈からすると、後からくるflower が単数であることも考えると、「一本の葉」と考えたほうが意味が通るような気がするんです。一本の草の葉が輝き、その草につく花が輝く。
私は露に濡れた葉が朝日を受けて輝くという、カメラでいえば接写した映像のような印象を抱くのです。

これを「草原」と訳すと、カメラでいえば広角レンズの画像ですね。草原の一画に立ち広い視覚で眺めわたして見える光景。
となるとですね、ひとつひとつの花って目につかなくなるでしょう。「花の栄光」というからには、花が大きく視野に入ってこないといけません。
ワーズワースがこの詩を作ったとき、花は接写的に、草は広角的にという使い分けしているとは思えません。

しかし、これを単に「草の輝き」と訳すると、日本語としてはドラマチックではないんですねえ。そこで多くの訳詩家は「草原の輝き」としたんでしょうね。私としては「草葉の輝き」ぐらいがちょうどいいとは思うんですが。

まあたいていの人にはどうでもいいことなんでしょうが、詩の翻訳は難しいという話。
英語の、splendor in the grass という語感にまさるものはないのだから、英詩はすべて英語で唱えるのが正しいんでしょう。漢詩もそうです。詩はすべてそうかもしれません。訳詩はすべて参考かな。

この『草原の輝き』という映画、青春映画としての傑作です。村上春樹は、この映画が公開される前から原作で読んで感動したと言ってます。後年『ノルウエーの森』がこの映画の影響ではないかと言われたのは故無いことではありませんでしたでしょう。機会があれば今の人にも見てもらいたいです。ナタリー・ウッドがどこでこの詩について触れるかもね。


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コメント

名前:稲波弘彦
タイトル:吹き替え版か字幕での詩
もう還暦を迎えようとしているのに、この映画の感激は忘れられません。最初に見たのは高校か大学の頃だったでしょうか。吹き替え版だったか字幕だったかは定かではありませんが、詩はこうだったと思います。「草原の輝きも、花々の栄光も還すすべなしと言えども悲しむことなかれ。去るを追わず。残れる力を見出さん。」この詩ではgrass も flower も複数に訳してあるのですが、貴方が仰るように単数で訳す方が正しいと思います。そしてそれは個々の人を指し示しているのだと感じました。
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