ぐらんぴ日記

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尾張屋の荷風



『永井荷風ひとり暮らしの贅沢』(永井永光他 新潮社とんぼの本 06/5)に、もう一枚、井沢昭彦氏撮影の『尾張屋』での荷風スナップ写真がありましたんで、転載しておきます。
服装、食器類の位置からして前の日記の写真と同じ時ですね。ロングで撮っておいてからズズズと近寄ってローアングルから少し見上げる角度で撮っている。
これを見ると、荷風の視線は穏やかで、あまり嫌悪感を示してません。撮られてもいいという、暗黙の了解が映っています。
背後でおそるおそる覗いている二人の店員の表情が面白い。

井沢青年は当時、多摩美大写真科の学生でカメラマンの卵であった。

荷風が尾張屋最後の日、「トイレはどこ?」と訊いてから、なかに入ると、ドスンというものすごい音がした。女将がかけつけて手を貸したところ、はじめて「ありがとう」と荷風が礼を言ったという。それまで感謝の言葉というものを口にしたことがなかった。そもそも、注文さえしなかった。入ってきていつもの席に座ると、店員が心得てかしわ南蛮を作ってもってゆき、食べ終わるとテーブルに100円札を出し、黙って15円のお釣りをもらって出ていった。寡黙というより傲慢不遜な爺さんであった。
「いつもひと言も話さないし、笑いもしない、可愛い気のない、偏屈じいさん」と女将は評している。
その荷風が「ありがとう」という言葉を残して尾張屋をあとにした、というのは何か救われる思いがするではないか。

二枚目は有名な浅草ロック座のストリッパーたちとの記念撮影。
そばの話だけでは何なので、サービスである。(笑)

文化勲章授章前の昭和27年ごろ。
荷風が授勲したことで踊り子たちは、「ニフウ先生」と呼んで楽屋に入りびたりのこの愛すべき老爺が「えらい人」だと分かり、一緒に遊んでくれなくなった。荷風は「文化勲章なんかもらうんじゃなかった」とぼやいている。それからはストリップ劇場通いから遠ざかり、映画館に入りびたるようになってゆく。

思えば踊り子たちの脂粉の匂いが老いてゆく荷風の活力剤ではなかっただろうか。彼女たちにかまってもらえなくなったことが老いを促進したのだ。
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官能作家・館淳一。趣味は路上観察、雑学研究からセーラー服ウォッチング、美女装子探しまで、なんでも探索。
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