ぐらんぴ日記

mixi上で「ぐらんぴ」が書いている日記の引っ越し版です。文字サイズ変更できます。

なぜに「黙示録」


久しぶりに新しいOS( Snow Leopard )をインストールした時、ちょっとまじめにAppleとの使用許諾契約書を読んでみた。インストールする前に出てきて「同意」をクリックしないといけないあれね。
まああれをマジメに全部読んでる人は皆無に近いと思うが。(笑)
そうしたらこういう部分があった。

>FAAならびにAppleは、明示、黙示を問わず(商品性や特定目的適合性に対する黙示の保 証をしないことを含みます)、フライトデータの使用および正確性に関する一切の保証を否認します。
 APPLE INC. ソフトウェア使用許諾契約 -MAC OS X

FAAというのは米国連邦航空局のことで、どうしてそんなところについて日本のユーザーが気にかけなきゃいかんのか皆目分からない。まあ、それはそれとして「ふむ」と思ったのは、

黙示

という文言が二度用いられていること。
すぐに思い出すのは、高島俊男頑固偏屈激怒老人(肩書きは中国文学研究者なんだろうが)が週刊文春のコラム『お言葉ですが……』に書いた「アポカリプス」についてのいちゃもん。(『お言葉ですが……11巻』(連合出版 06/11)に収録されている)。

新約聖書の『(ヨハネによる)黙示録』がギリシャ語源で、英語では「Apocalypse アポカリプス」というのだということは、まあたいていの人が知っているだろう。それはコッポラの映画『地獄の黙示録』によるところが多い。あの原題は「Apocalypse Now」だったからだ。
高島俊男じっちゃんはこう怒る。

>ギリシャ語アポカリプシスは、uncover, reveal の意。英訳は Revelation 。reveal は俗な日本語でいえば「ばらす」だから、revelation を分かりやすく品のいい日本語するなら「明かし」「露(あらわ)し」「示し」ぐらいだろう。(……) 最初のモリソン漢訳は「啓示」。啓は啓発の啓、「開也」だからこれもよく分かる。
 そのあと英米プロテスタントの宣教師の誰かが(漢語訳で)「黙示」と変えたらしい。なんで「黙」なんて語を上にくっつけたんだろう。キリスト教は「言」が命だのにね。
「黙示」というのは十九世紀の西洋人が作った新造漢語である。そしてその後も、新約の Revelation に言及する時以外は用いられることのない語であった。
「黙って示す」ではおしゃべりな中国人には何のことやらわけが分からんから、今はモリソンの「啓示」に戻っている。(……)製造元の中国では「黙示」はもはや死語である。
 日本語訳ではなんでもいつまでも「黙示」に固執するのだろう。


高島じっちゃんは「もともと「黙示」なんて言葉は中国にも日本にも無かったんである」と言っている。そこで目についたのが、この契約書の文言。たぶん法律や契約の世界では「黙示」はどうやら使われているらしい。
ためしにオンラインで辞書(kotobank デジタル大辞泉)にあたってみると、

もく‐し【黙示】

[名](スル)《「もくじ」とも》
1 暗黙のうちに意思や考えを表すこと。「~の意思表示」
2 隠された真理を示すこと。特に、キリスト教で、神が人意を越えた真理や神意などを示すこと。啓示。


とある。2があって1の意味が生じたのかもしれない。しかしまあ日本語では「黙示」は使われているのだ。「言葉にされていないけど、その意志や考えは暗黙のうちに了解されている」とされる文言が「黙示」なんだろう。
たとえば、「濡れた猫を電子レンジで乾かすな」という文言は取り扱い説明書では明示されていない。文章に書かれていない。それでもだからといって猫を電子レンジで乾かしてもいいという意味ではない。洗濯機だって食器洗い機だって同じことだ。「言わなくても分かること」それが「黙示」なんだろう。だから裁判で訴えても無効だよ、というわけだ。

では「黙示録」の「黙示」はどうか。
とうてい「暗黙の了解」ではありませんわなあ。(笑)
これでもかこれでもかとばかり、キリスト様が最後の審判にいたる地獄絵の様相を描いている。目に見えるような言葉で。
確かに高島俊雄氏の言うとおりだと思う。「黙示録」というのは意味のない語である。「啓示録」とすべきものである。
そうであっても「意味はよく分からんけど、おどろおどろしくてカッコいいじゃん」という意見が多いだろうと思う。映画のタイトルまでつけられては、もう仕方ないかもしれないねえ。
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官能作家・館淳一。趣味は路上観察、雑学研究からセーラー服ウォッチング、美女装子探しまで、なんでも探索。
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