ぐらんぴ日記

mixi上で「ぐらんぴ」が書いている日記の引っ越し版です。文字サイズ変更できます。

『ザ・コールデスト・ウィンター』が面白くて面白くて(2)

誰も読んでない本だけど面白いんだから仕方がない。(やけ)
『ザ・コールデスト・ウインター朝鮮戦争』がどうしてこんなに面白いかと思って考えてみた。
面白いのは、人物描写がとにかく辛辣だからだ。
ハルバースタムが描くマッカーサーは「個人的憎悪でもあるのか」と思うぐらい悪しざまで、その表現は罵倒に近い。それは側近ばかりか政府首脳、参謀本部の要人にも向けられる。「おべんちゃら」「腰巾着」「日和見主義」と、これでもかこれでもかと罵倒語を並べてその人物を描写する。
まあたいていの登場人物は逝去しているか引退して死にかけているのだろうが、遺族だって関係者だっているだろう。名誉毀損で訴えられないかと思うぐらいな罵詈讒謗を浴びせてやまないのがハルバースタムの面白さの源泉なのだろう。

日本の評伝などではなかなかそう「悪人を悪人、愚者を愚者」として描くことは出来ない。日本人特有の「測隱の情」とか「武士の情け」とかいう感情があるし、そこまで主観的表現を用いては客観的に歴史を見てないのではと疑われるのではないかと自分で心配になるからではないか。
ぼくはあまり日本のそういった史伝評伝を読んでいないので分からないのだが、太平洋戦史でも愚将を愚将とあしざまに描写する史書を知らない。
唯一、上杉隆氏の『官邸崩壊』がそれに近いかな、という気がしないでもない。安倍晋三に人格崩壊を起こさせた「お友達」政治家たちの描写は、それはそれはきつかった。「これでは彼らに恨まれてこれからの仕事に影響が出るのではないか」と心配するほどだった(実際に出ている。政治家というのは恨みがましい人間なのである)

要するに、史書評伝の類いが面白いのは、忌憚のない誰はばからぬ人物評にあるのだろう。ハルバースタムが巧みなのは、その人物評の中心を自分の主観に置かず、取材した、あるいは資料から見つけた第三者の言葉をたてておくところだ。誰それが「あいつはバカだ」と言った言葉を引用しながら、自分の主観でそいつをズタズタにしてゆくのだね。
この面白さはピュリッツアーを獲った『ザ・ベスト・アンド・ザ・ブライテスト』からのものなんだろうが、描かれた人を怒らせずにはいられないからベストセラーになったともいえるんじゃないか。彼のベトナムからのレポートは辛辣すぎてケネディを激怒させ、ニューヨークタイムズに「あいつをクビにしろ」という「大統領命令」が出たほどだ(もちろんNYタイムズははねつけた)。
取材した相手や描写する対象をなるべく傷つけないように神経を使う日本人ジャーナリストには、真似が出来ない手法かもしれない。言論の自由が根ついているアメリカだからこそ出来る手法なのかも。
では『覇者の驕り』はどのようなものなのだろうか。日本人はどう描かれているのだろうか。気になる。ヒマができたら読んでみよう。
スポンサーサイト

コメント

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

この記事へのトラックバックURL
http://jun1tate.blog25.fc2.com/tb.php/321-7722c8cb

 | HOME | 

文字サイズの変更

プロフィール

ぐらんぴ

Author:ぐらんぴ
官能作家・館淳一。趣味は路上観察、雑学研究からセーラー服ウォッチング、美女装子探しまで、なんでも探索。
館淳一ホームページ

最新記事

最新コメント

月別アーカイブ

カテゴリ

未分類 (1721)
飲食店 (6)
Mac (8)
電子書籍 (4)
mixi (4)
身辺雑記 (71)
美少女 (2)
セーラー服 (2)
ネット (3)
仕事 (10)
文学・小説 (12)
雑学(地名) (3)
出版・編集 (7)
雑学(死語) (5)
永井荷風 (6)
雑学(モノコト) (10)
事件(社会) (14)
事件(世界) (6)
政治 (1)
道具 (3)
回想 (11)
SM (2)
路上観察 (14)
女装 (6)
工作 (1)
ミュージック (7)
雑学(軍事・武器) (2)
アート・美術 (6)
原発 (7)
怪談・超常現象 (6)
病気 健康 (3)
ランジェリー (2)
夢 幻覚 (2)
映画 映像 (2)
料理 酒 (4)
日本語 (2)
植物 (13)
雑学(地理 地史) (3)
雑学(英語 外国語) (1)
芸能タレント (1)
鉄道 (1)
ゴシップ (2)
廃墟 (1)
建築物 家屋 (1)

検索フォーム

RSSリンクの表示

リンク

このブログをリンクに追加する

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード

QR

FC2Ad

Template by たけやん