ぐらんぴ日記

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「ダッチワイフ」は和製英語。

最近は映画『空気人形』が評判を呼んでいる。これは「ラブドール」のことなのだけれど、関連して「ダッチワイフ」という言葉もよく使われる。
以前、この語について書いたことがある。例によって『雑学BBS』。(笑)ある人へのレスです。

RE:ダッチワイフ】

Dutch Wifeは、確かに東南アジア一帯でみられる「竹夫人」ですが、おそらく(ほとんど確実に)インドネシアの「抱き枕」のことです。
もちろん、夜間の蒸し暑さ、明け方のわずかな肌寒さに対処するため籐の、円柱形をした網籠ですね。暑いときは手足を載せ、涼しいときはこれを抱く。
インドネシア語では、これを「グリングGULING」というそうです。グリングリンとあちこちに転がることに拠るんだそうで、正しくはバタル・グリングBATAL GLINGというのだとか。
中国、韓国でこれを「竹夫人」と呼ぶように、添い寝する女性に見立てたくなる寝具です。
インドネシアを植民地としたのはオランダ。やってきたオランダ人たちは、この寝具を抱いて、本国に残してきた妻や恋人のことを想いだしたことでしょう。
これを見た外国人(もちろん、インド、シンガポール、マレー半島に進出していたイギリス人)が「オランダのやつらは、あんなもので性欲を満足させているのだ」と嘲弄したことがあったのではないでしょうか。
よって「ダッチワイフ」はそのあたりの英語圏で「グリング」を指す言葉として用いられました。ただし、本国、米語としてのDutch wifeはほとんど死語ですね。収録している辞書はめったにありません。

イギリス人には、オランダ人に対して敵愾心を燃やし、彼らを嘲罵侮蔑した時期がありました。17世紀、1630年代、オランダが東インドから東洋に進出し、一大貿易国家を樹立した頃です。
これは当然、海洋国家でありインドからマレー半島へと権益をほしいままにしてきたイギリスとの衝突を招きます。その結果、17世紀後半、英蘭は三度、戦争を繰り返しました。その結果、オランダ(Dutch)という言葉が、非常に差別的な用法として英語に導入されてゆきました。

Dutch auction(値段がせり下げられる競売)
Dutch bargain(酒のうえで決められる契約)
Dutch comfort(もっと悪くなくてよかったという慰め)
Dutch courage(酒を飲んで出すカラ元気)
Dutch concert(がやがやわいわいの騒ぎ)
Dutch butter(人造バター)
Dutch gold(模造金箔、銅と亜鉛の合金)
Dutch lunch(割り勘の昼食)
Dutch treat(割り勘の会食)
double Dutch(ちんぷんかんぷん)
get in Dutch(困ったことになる)
go Dutch(割り勘にする)
talk Dutch(たわごとを言う)

こうやってみると「オランダ人はケチ、せこい」という観念が強いように思えます。
実はインドネシア人は本当の女性のことを「生きてる抱き枕」というふうに表現します。これは商売女を買うときに用いられたようです。
「今夜は生きてる抱き枕でゆこうか」といえば「娼婦を買ってセックスしようか」という意味。当然、金がなければ、本当の抱き枕を抱いて寂しく自慰するしかありません(抱き枕は工夫すれば現在のラブドールになります)。
オランダ人はケチだから、生きてる抱き枕を買わないでただの抱き枕で性欲を満たしているんだ――というような侮蔑表現もされたことでしょう。つまり「オランダ人用の現地妻」(笑)
――というわけで「ダッチワイフ」は、主にインドネシア周辺だけで通用した英語の俗語なのでしょう。(もちろんオランダ人が自らのことをそう言うわけはありませんからね)多くの辞書がこれを採録していないのは、意味が卑猥で差別用語として用いられたからかもしれません。

では、なぜ日本だけ、これをlove dollという意味で普及させたか。
これはマレー半島、インドネシア諸島が第二次大戦中、日本軍の占領下に置かれたことと関係しているでしょう。まあジャガタラ芋の例を持ちだすまでもなく、それ以前からこのあたりの言語は外来語として日本語のなかに入ってきていました。
戦後、自慰用の人形をどう命名するかという問題が起きたとき(これは日本古来の文化のなかには存在しませんでした。せいぜい張形、互い形ぐらい)東南アジアで英国人が口にしていた「ダッチワイフ」を覚えていた人間が、「それは英語ではダッチワイフというんだ」とでもさかしらに言ったのでしょうね。

ということで、まるで見てきたような嘘ばかりの説明でしたが、これはそう外れてはいないと思いますです。(^_^)

館 淳一
(Dutchのつく英語表現については『コーヒーブレイクの英語』(岡田誠一、丸善ライブラリー)を参考にしました)


これは数年前の記述だけれども、現在、さらに念入りに確認しても正しいと思われます。アメリカの Wikipedia では次のように記されて、「日本特有の単語」としているのが分かります。

Silicone dolls are quite popular in Japan, where they are known as "Dutch Wives" ('dattchi waifu'). Their name originates from the term, possibly English, for the thick rattan or bamboo bolster, used to aid sleep in humid countries by keeping one's limbs lifted above sweaty sheets. There is even a business, Doru no Mori in Tokyo, that rents sex dolls and rooms to male customers.[2][3] In March 2007 the Japanese daily Mainichi Shimbun newspaper reported that there are also rental businesses that bring the dolls to the customer's home, and that the specialist love-doll magazine Aidroid has a print-run of 10,000 copies per issue.[4]

悪名高き毎日の英文紙のヨタ記事が資料に使われてますね。(笑)

よってラブドールのことを西欧人に「ダッチワイフ」と言っても通じにくいでしょう。間違ってもオランダ人には言わないように。(笑)
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官能作家・館淳一。趣味は路上観察、雑学研究からセーラー服ウォッチング、美女装子探しまで、なんでも探索。
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