ぐらんぴ日記

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無力感 2012年05月13日

(病苦の話ですので、避けたい人はスルーしてください)

「とこずれ」
転院を繰り返す次兄を、札幌の病院に見舞っている。暮に見舞ってから4ヶ月半。
脳幹部の脳梗塞で。意識はあるけれどかろうじて右手がすこし動くだけの体は、手も足も筋肉がそげ落ちていた。
最初の発作で倒れたのが一年前。家族は治療についてさんざん悩まされてきた。
特に言葉を発せられず身振りもできない患者とのコミュニケーション。
意志疎通のためのツールはいろいろ試みたのだが、パソコンを用いたものなども効果が得られず、結局は原始的な五十音表でかろうじて短い単語が理解できるだけに。
今回、とりあえず何をしてほしいかという私の問いの答えが「とこずれ」だった。
自分で寝返りも打てない脳梗塞患者は放置しておくと褥瘡というのが出来る。皮膚と筋肉が鬱血のため壊死をおこす。ふつうとこずれという。
どの病院でも二時間おきに看護師がきて体の向きを変えてくれる。褥瘡を防止するためだ。
それでも寝たきりの体では体重のかかる部分が決まっているから、どうしても血流は滞留し筋肉は硬化する。急性期病院では理学療法士がリハビリのためのマッサージをしてくれるので、鬱血や硬化はある程度防げるけれど、いま受け入れてくれる医療施設ではそれができない。
看護師は「とこずれの兆しはみられません」と言うのだが次兄はひどく気にしている。本人は強い苦痛と違和感を味わっているのだ。
だから私が見舞いに行くとまず求められるのはマッサージだ。強く揉んで欲しがる。どの部位もまったく動かせないのだからどこを触っても「こり」がある状態。一日、全身のあちこちを揉んだり伸ばしたり引っ張ったり、理学療法士のやってたのを見よう見まねで刺激してやると、とても気持ちよさそうで、そのうち眠ってしまう。
もちろん家族もマッサージはしているのだが、痩せたとはいえ病人の体は重い。寝たままで腰や背中を充分にもみほぐすのは出来ない。
一日、八時間はベッドのそばで動かないのだが、全身を揉みほぐしてやるこちらも汗みずくになる。ベッドがそのままマッサージチェアふうになっていれば患者は喜ぶと思うのだが、そういう製品は無いだろうね。
その間、痰がからんで苦悶するのはしょっちゅう。寝たきりの病人というのは「生きる屍」と形容され、ジッと横たわっているだけのような気がするが、そうではないのだ。活動する肺はしょっちゅう痰を排出しているのだということを私たちは意識しないが、痰を自力で排出できなくなる患者を見ていると、その処理だけでも大変だということが身にしみて分かる。
(私たちは意識せずに、常時、痰を呑み込んでいる)。
傍にいることが出来れば毎日でもやってやるのだけれどね。私が帰る時はいつも悲しそうな顔をするので、その時が辛いのだ。
「任務」を終えてホテルに戻ると、頭が痺れたようになってる。定期的にする目薬の点滴をするため仰向けになって、点滴後一分間は目を瞑っているよう指示されている。そしてハッと気がつくと三十分ぐらい眠っている。
昨日は旧友と会う予定があったのだが、少し時間があったので「ちょっとだけ」うたた寝しようと思ったら、思いがけなく深く眠ってしまい、ギリギリに目覚めて遅刻してしまった。まあウイスキーとマイスリーを使わないだけ健康的とは言えるな。
今回は胃瘻(いろう)造設手術を行うというので、手薄になる家族の支援に出かけたのだが、鼻から食道にチューブをとおす経管栄養補給の苦痛を軽減すると期待された手術は、実施直前、胃の形態が手術不可能の状態にあることが分って中止された。
胃瘻手術は無駄な延命措置(いわゆるスパゲッティ症候群)の元凶でもあると言われ、次兄もまだ口がきける状態の時に「全身不随になっても気管切開と胃瘻造設は絶対にやるな」と命じていたもの。それでもいまも続く苦痛を軽減するためにはそのほうがいいと医師に説得され、家族も本人もようやく納得して受け入れたのだが、それが不可能となって、苦痛はえんえんと続く。まあ「しないほうがいい」という神のはからいかもしれないよ、と家族を慰めたのだが、それは慰めにも何もなっていない。
私は両親をガンで亡くしたから末期の苦痛をこの目で見ていて、「早く楽にしてください」と治療の中止を医師に訴えたものだが、いつ終わるとも知れない苦痛にさいなまれる次兄と看護に疲れ果てている家族を見ると、余命が誰の目にも明らかな末期ガンのほうがよほど慈悲深い病ではないかと思うこのごろだ。

イイネ!(2) 霞 鈴木輝一郎
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コメント
ぐらんぴ 2012年05月13日 03:15
と言いながら、今日はいつもより早めにホテルへ戻れたので、早めに寝たら深夜、目が覚めた。ウイスキーとマイスリーの世話になることに。

 2012年05月14日 09:38
ご苦労さまです。
でも、身内に介護されて、兄上はお幸せですね。
母の床ずれは、とてもよく効くチューブ入りの塗り薬があって、助かりました。入院してからは、動かせるし、入浴もしてもらえるので、心配いりませんでした。ただの老衰でしたから。90代でしたが、頭はしっかりしていましたね。病人というわけでもなく、眠るように亡くなりました。

兄上が、苦しまずにおられますことを祈っております。ぐらんぴ様も、くれぐれも体調を崩されませんように。

鈴木輝一郎 2012年05月14日 16:38
「イイネ!」をクリックする話ではないんですが、他に思いつかないので。
よりよい方向に導きがありますように。

くまくま('(ェ)') 2012年05月15日 08:32
両親の介護をしていた頃を思い出しました。
母は心筋梗塞で倒れ、その際に脳梗塞も併発したため右半身が麻痺してしまい、寝たきりの生活でやはり床ずれが出来てしまいました。治るまでに半年近くかかりました。
母の介護を始めて2年目の冬、父は誤嚥性肺炎で入院し、精密検査の結果、肺がんとわかりました。
あらゆる抗生物質を試してもらったのですが、効果がなく、死を待つだけになってからの1ケ月は本人も私にとっても辛い毎日でした。
数時間ごとの痰を除去するためチューブを鼻や口、切開した気道から入れる時の苦悶の表情は今も忘れられません。
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