ぐらんぴ日記

mixi上で「ぐらんぴ」が書いている日記の引っ越し版です。文字サイズ変更できます。

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紅茶とマドレーヌ 2012年02月20日

マドレーヌ

失われた時を求めてBD表紙


六本木の喫茶店『クローバー』の閉店については前の日記にも書きました。

http://jun1tate.blog25.fc2.com/blog-date-201212.html

そのコメントに自己レスでこう書きました。

最後に、アールグレイの紅茶にマドレーヌを添えてもらって、懐旧の念に浸りたかったよ。

別のSNSにも同様の文を書いたけれど、どちらにも反応が無かったので「あれえ、すべっちゃった」と思ってたら、たっちんさんが「知らない人のほうが多いでしょう」

そ、そうだったか。私の友人のなかでも高度インテリ読書人に属するたっちんさんも調べる必要がある言い回しになったのね。(;_;)

「紅茶とマドレーヌ」というのは、かつては「ふとしたことで昔のことをパーッと思い出す」という現象を指してたんですね。

出典はマルセル・プルースト。
『失われた時を求めて』A la recherche du temps perdu
第一巻「コンブレー」のかなり早いところ(和訳本でいえば80ページぐらい)に記されています。手元の集英社版、鈴木道彦訳でその部分、紹介しますね。だいたい「あ、それなら知ってる」と思われるのではないでしょうか(と、期待して)

成年し、独身のまま、母親と一緒にパリに暮らしている主人公が、ある冬の日、陰鬱な気持ちで帰宅したところから始まります。

……母は「プチット・マドレーヌ」と呼ばれるずんぐりしたお菓子を一つ、持ってこさせた。少したって、陰気に過ごしたその一日と、明日もまた物悲しい一日であろうという予想とに気を滅入らせながら、私は無意識に、お茶に浸してやわらかくなったひと切れのマドレーヌごと、ひと匙の紅茶をすくっては口に持っていった。ところが、お菓子のかけらの混じったそのひと口のお茶が口の裏に触れたとたんに、私は自分の内部で異常なことが進行しつつあることに気づいて、びくっとしたのである。素晴らしい快感、孤立した、原因不明の快感が、私のうちに入りこんでいた。
(中略)
いったいこの力強い喜びは、どこからやってきたのか? 私はそれが紅茶とお菓子の味に関連があるとは感じたが、しかしこの喜びはそれをはるかに超えたもので、同じ性格のものであるはずはなかった。それはどこから来たのか? なんの意味か? どこでそれをとらえるのか? 私はふた口めを呑む、そこには最初のとき以上のものは何もない。
(中略)
そのとき一気に、思い出があらわれた。この味、それは昔コンブレーで日曜の朝(それというのも日曜日には、ミサの時間まで外出しなかったからだ)、レオニ叔母の部屋に行っておはようございますと言うと、叔母が紅茶か菩提樹のお茶に浸して指し出してくれたマドレーヌのかけらの味だった。



――こうやって主人公は、幼い時、両親と一緒に田舎の別荘コンブレーで過ごした日々をつぎつぎに思い出してゆくのです。

ちょうど日本人の玩具で、水を満たした瀬戸物の茶椀に小さな紙切れを浸すと、それまでは区別のつかなかったその紙が、ちょっと水につけられただけでたちまち伸び広がり、ねじれ、色がつき、それぞれ形が異なって、はっきり花や家や人間だと分かるものになってゆくものがあるように(中略)全コンブレーとその周辺、これらすべてががっしりと形をなし、町も庭も、私の一杯のお茶からとび出してきたのだ。



私は中学時代の国語の教科書で、誰かのエッセイにそのことが書かれていたので、覚えていたんですが。
いや、さすがに今どきの人で、プルーストを読んでるなんて人は稀でしょうから、「そんなの知らない」って言われても仕方ないですかねえ。私だって全巻とびとびにしか読んでません。死ぬまで完全読破できるかどうか。(;_;)

まあ、そういうことなんですが、ここで私が気になったのは、具体的な摂取方法ですね。マドレーヌというお菓子は洋菓子屋に行けば売ってる。『クローバー』のような喫茶店へ行けば紅茶と一緒に出してくれる。
さて、それをどのようにして口に運んだのか。どうも文章だけではよく分らなかったんですね。「紅茶に浸す」というのがどれだけの量をどうやってやるのか、想像もつかない。
そうしたら、絶好のものを見つけたのです。
フランスのデルクール社から1998年、コミックス版(正しくはバンド・デシネ=BDと呼ばれるのですが、フランスでもmanga版と表現されることがあります)の『失われた時を求めて』が刊行されたんです。

http://www.editions-delcourt.fr/catalogue/bd/a_la_recherche_du_temps_perdu_1_combray

私は最後にパリを訪れた10年前、このBDを本屋で見つけて狂喜しましたね。だって主人公が紅茶に浸してマドレーヌを食べるところの絵がついてるんですから。(笑)

失われた時を求めてマドレーヌ

これを読んで積年の謎が解けた時は嬉しかったですねえ。まあフランス人に頼んで教えてもらえばよかったんですが。

このコミックス版『失われた時を求めて』は、第二巻まで白夜書房から発売されています。あまり売れなかったんでしょうね、本国では巻を重ねているのに日本語版は中断したままです。
でも、あのおそるべき冗長難解な文章で、最初の数ページで撤退するのが必定のプルーストを、少なくとも第二巻、「花咲く乙女たちのかげに」の前半まで理解できるのですから、このコミックス版はプルースト初心者には絶好の入門書ではないかと思います。

ということで、寒い冬の日、プルーストを気どって、熱い紅茶にマドレーヌのかけら浸して食べてみるのもいいのではないかと、まあそう言いたいわけです。(笑)

イイネ!(3) 冴月さくら くまくま('(ェ)') きた
==============================
コメント

ひな_shella 2012年02月20日 07:09
おお、画付のものがあったんですね。

「紅茶とマドレーヌを試そう!」とやってみたところ、水分を含んだマドレーヌが
ボロボロのグズグズになってしまい、
日本の(というか今の)マドレーヌじゃダメなんじゃないか --- と書いてあった
エッセイか日記を読んだ記憶があります。

そっか…スプーンを使っていたのか…
コメント

わらねこ@笑夢猫 2012年02月20日 07:20
そこに突っ込むとよかったんだ!

すみません…当たり前すぎたので傍観してました。
ボイスで伏せ字にして、何やら、ぐらんぴさんがモゴモゴしてるなぁ…て、思っただけでした。

気が利かなくてごめんなさい。
コメント

ぐらんぴ 2012年02月20日 07:35
>ひな_shellaさん
そうなんですよ。原文を読めば推測できそうなものですが、直接カップに入れてしまうんですねえ。(笑)
ハッキリ書かないプルーストが悪いわけではなく、フランス人ならみなこうしてるという習慣ですから、彼も省略したんですね。日本人が真似するかもしれないなんて考えてない。(笑)

まあ、これで食べ物の味と香りが記憶を触発するという現象を分かりやすく説明できるようになったわけです。「プルースト現象」と言ってもいいでしょう。

ぐらんぴ 2012年02月20日 07:41
>わらねこ@笑夢猫さん
いや、すべった責任は私にある。こんなところで謝ることないです。(^_^;) もう少し分かりやすく書かないとね。「プルーストのマドレーヌと紅茶のように」とか。ひとりよがりの文章はいけません。

ぐらんぴ 2012年02月20日 08:08
そうか、匂いが記憶を呼びさます現象は「プルースト現象」「プルースト効果」として学術用語になっているんだ。http://x51.org/x/04/08/0431.php

たっちん 2012年02月20日 08:20
ひょっとして、知らなかったのボクだけだったりして……。
コメント

ぐらんぴ 2012年02月20日 08:29
>たっちんさん いや、そんなことは無いでしょう。プルーストは戦後、ブームになった時期があり、確か映画化もされてたんです。その時期、プルーストのマドレーヌは若者たちの合言葉みたいになったんでしょう。
でも、プルーストの「失われた時〜」を読んでみると、まあマドレーヌのところまではガマンするけれど、そっから先はもうダメだという人が続出して、ついにプルーストブームも終わっちゃいました。
その頃の人(私の兄貴ぐらい)が言い伝えないと、さらにもう一つ世代が下がるたっちんさんのところでは、プルースト現象も途切れちゃうってことでしょうね。

わらねこ@笑夢猫 2012年02月20日 08:48
確かに、ワタシの職場でも、たまに、その世代の方が読まれていますね。

ワタシが読み知っていたのは、学生時代の文学のセンセが読めと言ったからで、普通は手を出さないと思います。

コメント

霞 2012年02月20日 12:01
「失われた時をもとめて」、読みました。
なが〜いながい小説好きのわたしのこと
大学受験に失敗して、お茶の水の「YMCA」の英語学校に、腰かけで入学していたころ…。

そこの図書がかりになって、図書室の大長編をカタハシから読みふけりました。まだ本屋にも洋書はすくなかったし…。

プルースト「失われた時をもとめて」も。
さすが長編好きのわたしも、これだけは「スワンの恋」の部分しか読めませんでした。情けないです。たいていの本は完読するのですけれど。

紅茶は、手元に「アールグレイ・フレンチブルー」があります。いっしょに頂いたクッキーも、すばらしい香りとお味で、すぐに食べつくしてしまいました。紅茶は目白のかかりつけ医に、頂いたもの。

たわいないコメントですみませんが、香りのもたらす影響は絶大ですね。
コメント

たっちん 2012年02月20日 12:51
たった今観たアメリカの犯罪ドラマで、マドレーヌのくだりが音読されました。なんという偶然。
コメント

万里 2012年02月20日 14:03
おお懐かしや、マドレーヌ(笑)。

といっても、ご多分にもれず、σ(^^)も「失なわれた」全巻読破なんか、してないんですが、なんつーか、ともあれ、それにチャレンジしてた頃が懐かしい(//▽//)。

高校の乱読時代、世界文学全集を第1巻から読破せんとして、1巻目の古代文学、2巻目のホメロスまで行って挫折し(笑)、その次に、あれこれ迷って、途中でプルースト長そーぢゃん、でわ読もう、とか思ったのですが、「スワン家の方へ」の第1部前半で、これまた挫折。

その頃、懇意にしていた学校近くの古書肆が妙に凝った店で、仏蘭西文学や昭和初期の詩人の本などを蒐めていたので、通っていたのですが、そこに屯してた、今思えば大学の先生クラスかな、そういった「大人」の人たちに、プルーストで挫折した、ってな話をしたら、余裕の笑みで「あれは、ソドムとゴモラの章だけ読めばいい」「そうそう。あれが一番面白い」と云われたんですね。それで、まぁ、もう一回挑戦してみよーかと思って、ソドムとゴモラの章だけ、また高校の図書室から借りてきたんだけど、さすがに人間関係が判らず、また挫折した(笑)。

でも、シャルリュス男爵の名は、当時、澁澤龍彦氏の著作で、モデルがあるんだ、ってことは知ってたので、興味津々でしたがw。

もっとも、挫折したのは、文章のせいかも知れない。
訳文は、わりといいのですが、それでもあの息の長い文章は、ちと読みづらい。
フランスには、明晰ならざる文章はフランス語に非ず、との格言があり、実際、プルーストやジッドの文章は、とんでもない悪文だから、アカデミー・フランセーズが認めていないので、教科書にも載っていない、と(大学では)教わった。
ジッドの文章をプリント1枚もらって、来週までに訳してこい、との課題をうけて、辞書牽くのもメンドくさいバカ学生だったσ(^^)は、訳そうとしたんだけど、歯が立たない。仕方なく、書店に行って、文庫のコーナーでそれらしい本を探したら、どうやら「一粒の麦」らしい。今日出海訳だった。で、買ってきて、該当箇所を当たると、ちょうど、σ(^^)が訳せなかった箇所を、今日出海氏もトバして訳してやがんの(爆)。東大仏文の人が訳せないものが、オレに判るわけないぢゃんよ、ってーんで、バックレましたけどね。とにかく、指示代名詞がアチコチするわ、酷い悪文でした(仏語は、直近のものしか、指示代名詞にしてはいけないのだが、それを堂々と破っているのである)。
プルーストの原文も一度、見たことあるんですが、あれは、学部学生には、ムリだなぁ。。。


まあ、話をマドレーヌに戻すと――、
当時のσ(^^)は、そもそもマドレーヌ菓子なるものが、一体なんなのか、それすら知らなかった。だって近所にそんなシャレたもの出してくれる店なんか無かった(または知らなかった)。数年たって、ようやく現物にお目にかかった時には、プルーストなんか、知ったこっちゃないという感じだったんで、あまり感興もなかったなぁ。全てを思い出して、そうだったっけ、とか思ったのは、さらに星霜を重ねてからです。

しかし、フランス人って、パンとかでも珈琲などに浸して食うの好きですよね。
なんか、日本人的な考え方だと、それが「優雅」とか「品位」ないし「金持ちっぽい」とか思えないんだけど、あっちだと、平民から高等遊民にいたるまで、それやってて自然ですから。あれはフシギだ。

大学1年の時、無謀にも(数ヶ月しか仏語習ってない状態だから、現在形と近接過去/未来の時制しか知らないで)、ヴァカンス時のパリに1ヶ月、ホームステイしたんですが、朝と夕食は付いていた。で、毎朝、どんぶりのようなボールに一杯のミルク珈琲ですよ。カフェオレなんて生やさしいもんぢゃない、どっぷり半々くらいミルク入れた珈琲をどんぶりで出してくれるw。それにバゲットパンを浸して食う。これが仏蘭西式朝食。

あいにく、(16区の高級地区だったけど)フツーの家のホームステイだったんで、さすがにマドレーヌを紅茶で、とはいかなかったけど、あれはあれで懐かしいなぁ(笑)。
コメント

ぐらんぴ 2012年02月20日 14:10
>霞さま そうですか、やはりプルーストはダメだったですか。『源氏物語』も「須磨がえり』といって十一帖ぐらいで挫折する人が多いですが、『失われた時を求めて』は、『スワンの恋』がいいところですかね。しかし、これだけ高い評価を受けながら読破する人が少ないというのも珍しい文学作品です。ストーリーが波乱万丈ならともかく、日常茶飯そして過去の思い出がぐしゃぐしゃと綴られてばかり。しかも冗長冗漫な文章(本当は考えに考え抜かれた緻密な構成の文章なんですが)。読み通せた人は超人です。(笑)

>たっちんさん それはまた偶然もいいところ。シンクロニシティというんですね。その見本。

ぐらんぴ 2012年02月21日 06:01
>万里さん フランス人の家庭で一緒に暮らせたというのは羨ましい体験ですね。私はパリは十二回ぐらい訪問して、通算三ヶ月はいたことになるんですが、純粋フランス人家庭を訪問したことはないんですよ。在パリの日本人の家庭なら高級アパルトマンから低級アパルトマンまでいろいろ招かれましたけどね。だからパリジャン、パリジェンヌが日常どういうものを食べ、暮らしているのか分かってません。
全体的にホテル暮しで、朝食はコンチネンタルブレックファスト。水差しみたいなピッチャーにコーヒーとミルクと二つ。それを大きなマグカップに半々にジョバジョバにして、というのはやりましたけどね。パンは浸して食べるという習慣がないから、パリでやったことないです。レストランでの朝食でも他の人の見てなかったからなあ。
コンチネンタルの朝食はイギリス人からはバカにされますが、私はあれで充分でしたね。田舎のホテルだと目玉焼きにソーセージに簡単なサラダなんかついてましたけど、三種類ぐらいのパンにバター、ジャム、マーマレードがついて、コーヒー、ミルクのほかに野菜ジュースか果物ジュースがついて。うーん、充分充分。(^_^)パンは食べきれなくて、それをバッグに入れて出て、街歩きのさいちゅう、くたびれたらベンチに座ってそれを齧って、余ったら鳩にやって。これが楽しくて。(笑)
caféに入るとやはりコーヒーで、あとはビール(パリで呑むビールはうまい。乾燥してるからですね)。紅茶なんてめったに飲まなかったし、ましてマドレーヌと組み合わせて、なんて当時は考えてもなかったですねえ。
一度はどっかでやってみるんだった。(^_^;)
うーん、もう行く機会があるかどうか。リュクサンブルグ公園、荷風を偲んで何度散歩したかなあ。
そうそうコンブレーのモデル、プルースト自身の別荘があったイリエ(のちにイリエ=コンブレーになった)も、訪ねてみたいなあ。
うーん、寿命がもう少し欲しいところですね。

小夏マーマレード 2012年02月21日 20:36
私も母もフランスには行ったことはないのでわかりませんが

私の小さい頃の主食は、バターをたっぷり塗ったトーストをミルクティーに浸して食べる物でした


バターが溶けたミルクティーはとても美味しくて


あるとき、ふと思い立って、パンから溶けだすバターではなく、ミルクティーに直接バターを溶かして飲んだら、ものすごく美味しくて、ごくごく飲んでいたら、パンも食べなさい、と母に叱られました


クイズの答えは、なんとなくわかりましたが、もちろん読んでいません


でもなんでわかったのか謎です


コメント

ぐらんぴ 2012年02月22日 02:10
>小夏マーマレードさん バター溶かしミルクティー。そりゃ子供にはおいしそうだ。(^_^) どっかのメニューにあってもよさそうだけど無いね。栄養的にもいいし。
私が子供の頃は本当に寒い時期、学校に行く前の朝食には母が味噌汁にバターをひとかけが入れてくれましたね。熱いご飯にバターはいつものことで、北海道人はバターで大きくなったようなものです。

ぐらんぴ2012年02月25日 08:06
そうか、プルスートの「紅茶にマドレーヌ」は、私にとって「味噌汁にバター」なのだな。(^_^)

万里 2012年02月26日 17:32
>ぐらんぴ へ

そうか、結構、恵まれていたのかも知れませんね>σ(^^;)。

あの時は、語学研修の名目でのパックツァーだったので、格安の旅行ではあったのですが、それでも、当時のうちの家政から見ると、よく行かしてもらえたなぁ、と(今となっては)親に感謝しています。

ホームステイも、実際は、夏のヴァカンスの間、留守をする海外の学生の部屋を、又貸しする、といった形だったらしく、私は、どこかアラブ圏内の女学生の借りていた室を貸してもらってのステイでした。

場所は、16区(ブーローニュの森に近い、パリでも富裕層の住むカルティエ)でしたが、それほど丸金ではない、ごく普通のアパルトマンでした。メトロでいうと、 オートゥイユ教会駅のすぐ近くです。

1ヶ月間、借りている学生さんが帰省して、空き部屋となる、その一室を使わせてもらい、朝と夕食は出してくれて、昼は自分でセルフセルヴィスの店などで何とかする、と。
語学研修目的だから、メトロの10号線で、オデオン座近くにあるユーロサントルという各国の学生が集まる施設に通う毎日でしたが、それほどマジメには行かなかったな(笑)。

思い出としては、鍾愛するロートレアモンのパリ時代の下宿の跡を訪ねたり、ランボォの生地であるシャルルヴィルを(これは二度)訪れ、偶然にも資料館を訪ねていた日本人の女性と巡り会ったりと、およそ、名所旧跡などとは縁がない日々でした(これは、日本でも同じで、京都で、案内してくれた友人には、セッティングしてくれた行程の半分を拒否し、どうにか仁和寺だけ付き合ったくらいですから(笑))。

ルーヴルにはよく行ってたけど、ほとんどモナリザなんか目もくれないで、当時、入り口近くにあった、エルマフロディットの裸像なんかをスケッチしたり、毎週のようにトロカデロに行って、シネマテークで古い映画を観たり。コトバは少し不自由でしたが、楽しい毎日でしたねー。


バゲットパンをカフェオレに浸して食べる、っつーのは、あれ、パリジャン(ジェンヌ)たちは毎朝、出来たてのパンを買ってきて、食べるから美味いので、日本では、どうかなぁ。風土が違えば、味も違ってくるよーな気がします。

セルフセルヴィスの店で一番、安くて美味かったのは、アラブ圏の主食らしい「クスクス」だったかな。あれは、お代わりできたような記憶がある。
夕食も、なんか、出来合いの(安いデリカテッセン的な)惣菜ですませていたように思いますから、それほど、フランスの家庭料理、って印象ではなかったし。
最初の夜に、家主が寝静まってから、トイレに起きたんだけど、初めてみるビデしか見当たらず、その使い方が判らないので、往生しましったっけ(笑)。

あと、トイレのロール紙が粗末きわまるとか、エレヴェータ前や玄関ホールの照明が自動的に消えるとか、ケチくさいのにも驚きました。いまだに、そうだと聞いたけど、ホンマかいな。

まぁ、とにかく、ヴァカンス期のパリなんて、どこの店も休んでいるし、物価は高いしで、観光客として行くには最も不向きな時期でしょうが、こちらも観光なんて目的ではないから、それなりに楽しめた、というかw。
振り返れば、みな懐かしい、いい思い出です(^^;)。
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