ぐらんぴ日記

mixi上で「ぐらんぴ」が書いている日記の引っ越し版です。文字サイズ変更できます。

歌枕見てまいれ  2011年11月22日 08:00

西山審議官

藤原実方

原子力安全・保安院の元広報官、西山英彦審議官(54)が、環境省に出向させられ「福島除染推進チーム」の次長に任じられました。本拠は福島市ですから東下り。まあ明らかな左遷です。

この報道を目にした時、脳裏をかけ巡ったのは、藤原実方(さねかた)でした。

かくとだにえやはいぶきのさしも草 さしも知らじな燃ゆる思ひを 51番

実方は、百人一首に撰じられているこの歌の作者ですね。平安中期の貴族。従四位上・左中将に任ぜられた時は三十代初めだと思われますから、順調に出世していたエリート官僚です。経産相で審議官に達した西山氏と同じぐらいに。
Wikipedia によれば「藤原公任・源重之・藤原道信などと親しかった。風流才子としての説話が残り、清少納言と交際関係があったとも伝えられる。他にも20人以上の女性との交際があったと言われ、『源氏物語』の主人公・光源氏のモデルの一人とされることもある。」
毛並みはよく、頭脳の回転はやく、歌をよく詠み、インテリでイケメンで女性にもて、若手エリート官僚の俊秀。言うことがない。西山氏よりすごい。(笑)
しかしその彼を不運が見舞うのです。自業自得なんですが。

長徳元年(995年)に一条天皇の面前で藤原行成と歌について口論になり、怒った実方が行成の冠を奪って投げ捨ててしまったのです。行成は取り乱さず、主殿司に冠を拾わせ事を荒立てなかったといいます。
しかし、これが原因で天皇は激怒しました。
当時、貴族が宮中でかぶる冠というのは、特別な象徴であったらしい。それをはたき落すというのは無礼のなかの無礼。言語道断の振舞いだったんですね。
怒った一条天皇、実方を陸奥守に任じます。東北は仙台近くの国府、多賀城に飛ばされるということです。左遷ですね。陸奥といえば都から最も遠い地。今のサラリーマン感覚からいえば東京本社から北海道遠軽支店という感じですかね。(笑)

この時、一条天皇が発した言葉が、

歌枕見てまいれ。

陸奥国は百人一首ちゅうでは「末の松山」がありますが、さまざまな土地についての言い伝えをもとにした歌枕がいっぱいありました。それで「歌枕」といえば陸奥というぐらいの土地。一条天皇は「歌枕の地に赴いて歌の勉強でもしてこい」と言ったのですね。

勤務中、女性職員とキスしたと報じられ、広報担当をおろされた西山氏に、大臣(決めたのは大臣官房でしょうが)が「歌枕、見てまいれ」と言ったわけですね。まあ、

セシウム吸ってこい。

みたいなものと、私は思っているんですが。
個人的には私、西山審議官には同情してるほうです。クリントン見なさい。それこそ勤務ちゅうにホワイトハウスの事務室で見習い事務官のモニカ・ルインスキーにフェラチオさせていたんですよ。だからって大統領クビになってない。国民も「辞めろ」なんて言わなかった。オフィスでチューぐらいいいじゃないの。

……いや、これぐらいにしておきましょう。

実方は長徳4年12月(999年1月)、任国で馬に乗り笠島道祖神(現在の宮城県名取市にある)前を通った時、乗っていた馬が突然倒れ、下敷きになって不慮の死を遂げました。現地では「下馬しなかったから神様が怒ったのだ」と言われています。年齢は40歳ほど。光源氏のモデルとされたイケメン貴族は、結局、都に帰ることが出来なかったのです。
西山氏が任務をまっとうして無事帰られるよう祈ります。

イイネ!(3) きた 霞 麻屋 寿@ロープ沖縄
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コメント

ぐらんぴ 2011年11月22日 14:21
奇しくも、この笠島道祖神そのものが、歌枕の一つでした。
万葉集に、
草陰の 荒藺 ( あらゐ ) の崎の笠島を見つつか君が山路越ゆらむ
などがあります。

ぐらんぴ 2011年11月22日 14:54
どうも西山氏に同情票が少ない。(^_^;)

未婚の父 2011年11月22日 23:39
文才ある政治家の左遷というと、蘇軾を連想します。


ぐらんぴ 2011年11月23日 04:05
>未婚の父さん 西山氏はエリート官僚というだけで、文才とはどうやら無縁のようですね。あまり面白みのない左遷。しかし左遷のロマンというのもありますね。菅原道真を頂点として。

霞 2011年11月23日 11:26
あの緊急時、西山氏が報道を担当してくれたのは、なんとなくユーモラスで、心を落ち着かせてくれたものです。
原発関係のなかでは、イイ人だったのかなあ、と。
「左遷は、きのどくだったかな」、と思いますけど、仕方のないことですね。

未婚の父 2011年11月23日 12:37
>ぐらんぴさん
菅家(あえてこう書いてみます)は、生還できなかったし、大宰府では嘆く姿しか伝わっていませんから、西山氏の話に使うのは不吉だと思ったので。
かたや蘇軾、左遷先で東坡肉のレシピ作って、詩にしちゃってますから。この生命力を見習ってください。>西山氏
http://www.k2.dion.ne.jp/~osafune/kansi/nikuwokurau/kurau.htm

霞 2011年11月24日 22:27
それにしても、西山氏の左遷から、百人一首の歌人に飛ぶなんて…!
思いもしませんでした。いいお勉強をさせていただきました。

西山氏の場合、恋にならず、ハレンチ扱い。いささか哀れですね。
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