ぐらんぴ日記

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セイタカアワダチソウの冤罪 2011年11月03日

セイタカアワダチソウ

例によって、JR高田馬場駅戸塚口を出て山手線築堤を左に見ながらブラブラと事務所へ向かうと、築堤(土手)の斜面に黄色い小花をワラワラと咲かせた野草の群落が。
セイタカアワダチソウです。

セイタカアワダチソウは悪名のみが高い野草です。あまりこの群落を愛でる人はいないでしょう。
キク目キク科アキノキリンソウ属。野草界での出自はさほど悪くないのに忌み嫌われるんです。
もとは花の美しさを買われて観花用にも栽培された園芸品種だというのに。

嫌われる理由の一つは、猛烈な繁殖力にあるでしょう。
日本では戦後になって養蜂家が蜜の原料植物として積極的に広めたせいか、河川敷、土手などの広大な空き地をまたたくまに占領し、おかげでススキなどの在来野草が駆逐されてしまいました。
背高泡立草と書くぐらいだから人間の背の高さぐらい平気で成長します。それが花期になると毒々しいぐらいに真黄色の小花を、それこそ泡立つように見えるぐらいワラワラと咲かせるから、見る人を圧倒します。しかも大群落を形成するので、その中は人も通り抜けられないジャングル状態と化すのです。
従来の秋草を好ましく愛でてきた日本人の感性にはそぐわない、異様はほど居丈高な傲慢不遜な「自分たちだけがよければ」という厚かましさが全開というふうに受け取られます。日本人に好かれるはずがない植物です。

しかも花粉症が騒がれるようになった頃、彼らのイメージを完膚無きまで叩きのめす特質が伝えられ、日本人みんなが震え上がりました。

花粉症の原因植物

これはもう、外来種、セイタカアワダチソウを差別する観念を日本人に深く植え付けました。
そういうわけで一時期、セイタカアワダチソウは徹底的に憎まれ弾圧されました。「セイタカアワダチソウ討つべし」いたるところで駆除が行なわれ、引き抜かれ焼かれました。まあ、あまり効果がなかったのですが。

ところが,ある日突然、国民はアッと驚かされます。あれほど目の仇にしていたのに、実は、

セイタカアワダチソウは花粉症をひきおこさない。

という真相が明らかにされたのです。ゾラによって無罪が証明されたドレフュース大尉みたいなものです。
マスコミが中心になって一大バッシングによってあんなに悪者扱いされたのに、どうしてでしょうか。
もともと、蜜源になるぐらいですから、虫媒花です。
花粉症はスギが有名なように、風媒花が主です。微細で小さな花粉が空中を風に運ばれる。
セイタカアワダチソウの花粉は大きく重く、あまり風に乗らないんですね。
もちろん虫媒花でもユリのような花は花粉アレルギーを惹起しますが、セイタカアワダチソウの場合、その群落のなかを突っ切るような無茶なことをしないかぎり、花粉症になることはありません。

ですから、花粉症に敏感なアメリカでもセイタカアワダチソウは原因植物とされていないのです。
近年、そのことが周知されて「なあんだ」ということになり、今では花粉症対策としての駆除は行われていません。
どうやら外見のよく似たブタクサ(花は貧弱です。風媒花)と混同されたんですね。
↓こちらがブタクサ

ブタクサ


それと毒々しい色の花姿が本能的に嫌われたせいもあるんでしょう。「こんな花をつけて群がっている草は悪いヤツに違いない」という思いこみ。
その思いこみから解放されない人たちはまだ数多く、ネット上を探せばセイタカアワダチソウが花粉症の原因である、近寄るな、と書いたサイトなどいくらもあります。

私が調べてみた昭和40年代頃の植物図鑑は、軒並み「花粉症の原因となる」と書いてあります。
それらの記事は専門家が書き、著名な植物学者が監修編集しています。
「これは風媒花じゃないな。ちょっと待てよ」と考える植物学者はいなかったんですねえ。
一度、伝え聞かされた悪しき風聞は専門家でさえ洗脳しちゃうということです。

しかしながら、無罪を宣告されたにもかかわらず、最近のセイタカアワダチソウはこれまでの威勢のよさ、猛烈な繁殖力が失せたと言われています。あの強大な群落はもう珍しくなりました。ここに掲げたセイタカアワダチソウも他の野草にまぎれてひっそりと肩を寄せ合っている風情です。見れば背丈もそんなに高くない。

これは二つの理由が挙げられます。
(1)セイタカアワダチソウは深い根をおろし他の野草が得られない地下50センチメートルほどの地中の栄養分を得ています。そのあたりモグラや野ネズミの巣があり糞がいっぱいあるので、その栄養を得るのに都合がよかった。
ところが繁殖しすぎて、そのあたりの栄養分が枯渇してしまった。
(2)最大の理由は、彼らの地下茎が分泌する毒物による他の植物への攻撃、アレロパシー(他感作用)のせいです。セイタカアワダチソウが分泌する「シス・デヒドロマトリカリア・エステル」という毒物が他の植物の成長を阻害するんですね。毒を振り撒いて他の植物を追い出して自分たちが繁殖する、これがアレロパシー。セイタカアワダチソウはそうやって繁殖戦略を実行してきたのですね。なんか悪辣。
ところが他の植物がいなくなってしまうと、このアレロパシーは自分の成長も阻害してしまうのです。自家中毒で弱ってしまう。おかげで一時は日本の山野を占領してしまうのではないかと恐れられたセイタカアワダチソウの繁殖はガクンと衰えたと思われます。もうあの毒々しい群落を見る機会も少なくなりました。
ただ河原の川べりは毒が水に流されてしまうのでアレロパシーの有効性が保たれ、繁殖はその部分では旺盛です。

さて、このセイタカアワダチソウの冤罪を考えるとき、いくつかの教訓が考えられます。

一度着せられた濡れ衣はなかなか脱がせられない。

ということもあるでしょう。

見た目が悪いと濡れ衣を着せられやすい。

ということもありますね。でも最大は、

専門家が積極的に濡れ衣を着せることもある。

ということではないでしょうか。どこかの国のどこかの政治家のことを想起しませんか。まあどこかの国のどこかのご用学者もそうですが。

イイネ!(5) くまくま('(ェ)') ゆめち みう みゆき(M1号) きた
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コメント

わらねこ@笑夢猫 2011年11月03日 22:28
オミナエシの花は花粉症の原因になりましゅ。
これも、セイタカアワダチソウににていましゅ。

ブタクサのアレルギーは夏から秋なので、この時期のお鼻ムジュムジュや、お目目カイカイの原因は、ブタクサの可能性が高いでしゅ。

あみ 2011年11月03日 22:42
ブタクサのアレルギーなので、黄色の花を見ただけで避けてました。
冤罪だったとは知ってましたが、遠目だと区別着かないんですよね。

縛師ダディ 2011年11月03日 23:37
セイタカアワダチソウはススキ(薄)の天敵なので、冤罪であろうと無かろうと嫌いです。(ー_ー)

ぐらんぴ 2011年11月03日 23:42
ブタクサの写真載せておきました。だいぶ花姿が違うので、これからは「わ、真っ黄っ黄でモワモワしてる」と思ったら安心してください。ブタクサのほうが警戒心を喚起しないので、かえって危なさそう。

ぐらんぴ 2011年11月04日 00:48
>縄師ダディさん ご心配なく、最近はセイタカアワダチソウが衰退に向かっており、多くの土地でススキが巻き返しにかかっているという報告があります。どうもセイタカアワダチソウの毒性に負けない強いススキが出てきたのかなと思いますね。今は勢力拮抗からススキ優勢に移行する段階ではないかと思います。あと数年もしたらセイタカアワダチソウは珍しくなるかも。絶滅危惧種として保護が必要になるかもしれませんよ。
それはブタクサも同じで、これまで天敵がいませんでしたが、ブタクサハムシという北米での天敵が日本でも繁殖しており、このおかげでブタクサが衰退に追いやられています。やがてブタクサが消える日も来るかもしれません。

ぐらんぴ 2011年11月14日 06:23
花粉症の冤罪も晴れたせいで、その花穂の美しさを愛でる素朴な感情が戻ってきたようで、花屋でセイタカアワダチソウを切り花にして売っているところもあるようです。もともと観賞用の花だったので、それでいいのですが。一時より、都会の人の目につきにくくなったこともあるでしょう。
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