ぐらんぴ日記

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「自由」を届けた船


HDDの底をさらっていたら、こんな画像がひっかかった。
1974年、函館港で撮った。たぶん青函連絡船の甲板上から。
印画紙からスキャンしたもの。画質が悪いのはそのせい。
船底に浸水して傾いている。腐朽の著しい外見からしてスクラップにされるために回送されてきた廃船である。
その時はまだ正体が分ってなかった。
「軍艦のような感じがする貨物船だな」と思っていた。
やがて正体が分った。
「雑学BBS」で紹介したことがある。

リバティーシップ Liverty Ship

である。米国の戦時標準型貨物船

国家の総力戦となった第二次大戦ちゅう、各国はさまざまな物資、武器、兵器の大量生産を迫られた。
それを一番効率的にやってのけたのがアメリカで、何もかも「戦時標準型」にあてはめて生産するようにした。民生用のジーンズまで戦時標準型が定められポケットの形、ボタンの数まできっちり定められて生産されたのである(たぶん今はレアもので高いだろう)。
船舶、特に緊急に増産が必要とされたのが貨物船だった。そこで貨物船にも戦時標準型の規格化された船体が定められ、ものすごい数で生産された。最盛期は4日に一隻づつ進水していったというから想像を絶する。
最終的には2600隻というリバティーシップが船団を組んで大西洋、太平洋を渡って補給物資を送り届けたのである。

戦後、このリバティーシップで南洋方面から復員した日本軍将兵も多く、しばらくの間、日本沿岸でもリバティーシップの船影をみかけることが多かったはずだが、昭和30年代にもなるとぞくぞく退役していった。やはり構造的な信頼性というとどうよというところはあったんだろう。
ぼくが船舶に興味を抱いて港にゆくたびさまざまな船を眺めて喜ぶようになった時代、リバティーシップは姿を消していた。だからこの老朽貨物船を見ても最初は何だか分らなかったのだ。

よく見ると前部甲板、艦橋横、後部甲板上に丸い囲いのある塔が設けられているのが分るだろう。これは対空砲を設置した砲塔なんである。戦地に赴く任務上、重火器を搭載していたのだね。印象が何か軍艦のように見えるのは兵装の痕跡のせいである。

liverty ship で検索すると多くの記念サイトがウエブ上に見つけられるはずだ。第二次大戦で活躍した水上艦艇というと戦艦や空母や巡洋艦、駆逐艦、潜水艦などの戦闘艦艇に目にゆくが、その背後で補給を支えたリバティーシップの貢献を忘れてはならない。

規格を決めると、船を各ブロックごとに組み立てることができる。それで造船のスピードが向上する。実際、船台にキールを据え付けてから4日めにはその船を進水させられたのである。(まあそれは最高記録で、平均は42日だったらしい)。

日本だって当然、標準規格の船は作っていた。しかし……日本人の特性として、どうしてもあちこちいじって規格を変更してしまうのだね。だからリバティーシップのような同一規格の標準船は何隻も作られなかった。
日本では、作るよりも洋上で沈められる貨物船のほうが圧倒的に多くなり、終戦時、補給船団は壊滅していた。その不足を補うために米国から譲渡されたリバティーシップもあったはず。写真に撮ったのはその最後の一隻あたりではなかったろうか。
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官能作家・館淳一。趣味は路上観察、雑学研究からセーラー服ウォッチング、美女装子探しまで、なんでも探索。
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