ぐらんぴ日記

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核兵器の出現が変えたもの

わずか3年ちょっとで2700隻の一万トン級貨物船を造ってしまうアメリカの国力と「総力戦」の意味を考えた時、思うことがある。
それは「核兵器出現以後、国民が一丸となって敵とあたる総力戦の機会が失われた」ということだ。
それが何を意味するかというと「戦争に対する愛国心をともなう緊迫感、高揚感が失せた」ということだ。
実際、アメリカの国民が日本国民以上に「二億火の玉」となって戦闘に生産に邁進した戦争は、第二次大戦以降、無い。
朝鮮戦争はアメリカ市民にとって「どこともしれないところでやってる無意味で白けた戦争」だったし、以後ベトナム戦争でも湾岸戦争でも、今戦ってるアフガニスタンでも、一部の兵士が全国民の支援のないまま戦っている限定戦争である。

国民が燃えない戦争になってしまったのは、核兵器のせいなのだね。あれだけ死に物狂いで抵抗していた日本が二発の原爆で完全に戦意を喪失し完敗を認めざるを得なかったのを目撃した米軍は、まず自分たちが無敵の兵器を手にしたことで、奇妙な錯覚を抱いてしまった。
「もう陸軍も海軍もいらない。原爆を落としにゆく空軍だけがあればいい」
自分たちだけが核を持っていれば、それは理論的に正しいように思える。
実際、アメリカは第二次大戦後、ものすごい勢いで陸、海軍の装備を縮小していった。多くの艦艇は退役し、歴戦の部隊は解散させられ、徴兵制度は廃止された。
戦略空軍だけが突出して整備されていったのである。
朝鮮戦争初期、マッカーサー麾下の陸軍が敗走して釜山周辺に追いつめられ、あわやダンケルクの二の舞いを演じそうになったのは、そこに理由がある。陸軍は非常に弱体化されて手薄だったのだ。
そこでマッカーサーが原爆の使用を望んだことで解任された。
というのはソ連も水爆を開発しちゃったからである。
「空軍だけあればいい」という戦略は、これで手詰まりになった。向こうも使う、という可能性を考えながらこちらも核をちらつかせながら、制圧圏を考える戦争になってきた。

そういう戦争は局地限定戦争になる。ベトナム戦争のように。冷戦時代の代理戦争。
もし、二大国が真っ向から激突する戦争になれば、両者が核を使う可能性が高まる。こうなると世界の破滅だ。相互確証破壊という終末が待ちかまえているのだから両者、うっかり衝突はできない。総力戦など絶対に回避しなければならない。
そういうわけで第三次世界大戦は(幸いにも)まだ起きていないのである。
その結果、戦争は全国民が参与しないところで「チマチマと」なされるものとして続行され、多くは諜報戦と外交戦に偏るようになった。見えない戦争になったのである。国民はそんな戦争に「燃える」ことは出来ない。
だから、アメリカが全力をあげて日本やドイツを叩き潰したような戦争に、我々はお目にかかったことがない。核を使いたいけど使わない、なんともあやふやな腰の定まらない限定戦争がえんえん続くだけなのである。
総力戦が消えた時代に我々は生きて、生き延びられたのは幸運としか言いようがない。
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官能作家・館淳一。趣味は路上観察、雑学研究からセーラー服ウォッチング、美女装子探しまで、なんでも探索。
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