ぐらんぴ日記

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少年よ大志を抱け 2011年07月04日

北大構内

クラーク博士銅像

北大文学部校舎

次兄の看護を中断して一旦帰京することにした6月30日、ホテルをチェックアウトし荷物は札幌駅のロッカーに預けてから、一度、病院へ顔を出して兄に別れを告げることにした。
その時、ふと思いたって、歩いて北大キャンパスを訪ねてみた。なに、駅から正門は5分ぐらいのところである。病院に行く中途だ。
ちょっと確かめたいことがあったからだ。

札幌に住んでいたから北大キャンパスはなじみがある場所かというと、そんなことはない。私が最初にここを訪ねたのは稚内の小学校の修学旅行で、それは1955年のことだったから、なんと56年前のことである。
その次に訪れたのは、高校時代、私の初めてのガールフレンドの女子高生と初めてのデートの時で、それは1961年のことだったろうから、なんと50年前のことである。
そのJKとは手を握ることもなく淡いプラトニックラブのまま終わった。うーむ、悔い多き青春であるな。

そのあと、家人を初めて私の実家に連れていった時、ポプラ並木を見せてやったのと、兄の勤務先であった薬学部(助手であった)を訊ねたのが30歳ぐらいのころに一度あるきりで、つまり4回しかない。札幌人としては多いほうであろう。東京人がめったに東京タワーに上らないのと同じようなものである。北大関係者でもないかぎり北大キャンパスに行くことはない。

だからほとんど北大キャンパスのことなど知らないのだが、次兄の入院した病院がキャンパスの最北西端に位置することから、ここがバカみたいに広いことに改めて気がついた。
まあもともと農科大学だったせいもあるだろうけど、構内にひろびととした牧場があるのである。西側に沿う新川通りをタクシーで走っていると柵ごしに牛がのんびり草を食んでいる姿を見ることが出来る。見渡す限りの大平原が都市のど真ん中にあって牛がモーと鳴いているのである。
私は大学キャンパスというと江古田にある日大芸術学部しか知らなかったが、ここはキャンパスらしいキャンパスというのは無かった。狭い敷地のなかにごしゃごしゃといろんな学舎がひしめきあっているだけ。芝生どころか広場もない。だから後年、東大本郷キャンパスを訪ねた時は驚いた。鬱蒼とした林があり池がある。「これがホンモノの大学キャンパスか」としみじみ思ったことである。その時は原子力研究所を訪ねたのだが、迷いに迷ってしまったのを覚えている。

ところが、いま調べてみたら北大キャンパスの面積は1.8㎢で、皇居の1.4㎢よりひとまわり広い。東大本郷キャンパスは0.56㎢だから、まさに3倍以上ということになる。本郷キャンパスなど目ではないのである。

札幌農学校時代、ここは何もない原野だったから、こんな広い面積を確保できたのだろう。今の時代、どんな僻地の大学でもこれだけ広いキャンパスを確保するのは難しいだろう。
今は北大構内にはさまざまな学部の学舎が建ちならんでいるが、それでもキャンパスのいたるところ森あり林あり並木あり芝生ありただの草原があり……。まあ初心な高校生の初デートの場所としてはナイススポットではありましたな。
林の陰の木漏れ日のさす芝生で、デート相手は白い中間服のセーラーで、襞スカートをふわりと芝生の上に円形に広げて座ったのですよ。その時の情景がありありと思い出されますなあ。思えば私がセーラー服に魅せられて一生を過ごすことになったのは、その時の一瞬があったからかもしれないねえ。
いかん、いかん。つい青春時代のほろ苦いほろ酸っぱい思い出に耽ってしまったではないか。(笑)

まあ、そんな広い構内を歩いて向こう端に抜けるのも暇なときにはいいかもしれない。当日はさほど時間もないので、正門から徒歩5分ぐらいのところにあるクラーク博士像をめざした。

クラーク博士といえば札幌農学校教頭として明治政府に招聘された「雇われ外国人」の一人である。ウィリアム・スミス・クラーク。当時、マサチューセッツ農科大学の学長。一年の休暇をとってその期間に来日、札幌農学校の開校と一期生の教育につとめた。明治9年のことである。
僅か8か月であったが一期生の学生のほとんどはクラークに心酔し、誘われるままキリスト教徒になってしまった。
その彼が退任してアメリカに帰国する時、月寒の平原で教え子たちと別れる時、発した言葉が「少年よ、大志を抱け」である。

私は12歳、小学校六年生の頃、この北大にあるクラーク博士像の前でバスのガイドさんにこの言葉を教わった。
その言葉のあとに、まだ続く言葉があったことを知ったのはずっと後年のことである。
いろいろな説があるのだが、目下「公認」されているクラーク博士の惜別の辞とは次のようなものである。

Boys be ambitious,
not for money, not for selfish aggrandizement,
not for that evanescent thing men call fame.
But be ambitious for attainment of all that men ought to be.

少年よ大志を抱け。
お金のためでなく、自己顕示のためでなく、
名誉という空しいもののためでなく、
本来、人間があるべき姿のために大志を抱け



いかにも真摯なキリスト者らしいクラークの言葉である。
しかし後年の人々は「金のためでも自己顕示欲のためでも名誉のためでもなく」という部分を伝えなかった。
これはクラークとしては意図に反することではなかったろうか。単に野望を抱けと扇動しているだけだ。

そこでふと思ったのだね。「小学生の時に見たクラーク像には原文が記されているのではないか」と。

汗ばむぐらいの暑い日で、芝生の上では子供たちが嬉々として遊んでいた。学生の一人にクラーク像の位置を訊くとていねいに教えてくれた。
たどり着いたクラーク像の周辺は木々が茂っていて、小学生のころの記憶と違っていた。50数年前、周囲はひろびろとしていたような気がする。やけに広い空が記憶に残っている。
しばし感慨に耽ってから説明文の掲示板や銅像の背後などを確かめてみたけれど「金や自己顕示欲や名誉のためではなく」という文言はどこにもなかった。だめじゃん。北大当局に訴えてやろうか。

私は正門まで戻り、タクシーを拾って病院へ向かったのである。かつてこの構内があるため市内の交通は分断されて不便だったが、今は敷地の下を通るトンネルが造られて、かなり不便は緩和された。

しかし私が北大を訪れることなど、もう無いであろうなあ。
(右端の画像は学内の校舎。典型的な開発期の北海道様式である。かつて何であり今は何なのかは分らない)

イイネ!(6) ゆずきいくと 霞 みーや うみの がみ(゚-゚)キター! あやのすけ
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コメント

KillerLegs_Aki2011年07月04日 01:35
広さ>動物のお医者さんという漫画で
広さをなんとなく感じていましたが
いっぺん行ってみたいな~( ̄∀ ̄)

ぐらんぴ2011年07月04日 09:21
>KillerLegs_Akiさん 北海道へ旅行したら、ぜひお立ち寄りください。そうかー、北大は農学部のほかに獣医学部も看板かな。ただ北大名物ポプラ並木は近年、倒れてしまったのが多く、あまり壮観ではないということです。

ぐらんぴ2011年07月04日 09:29
しかしクラーク博士の訣別の辞、aggrandizement (大きく見せること、誇張すること、権力、地位を高めること)とか、 evanescent (雲散霧消する、はかない、一過性の)とか、attainment(到達、達成)とか、ふだん使わない難しい単語が出てくる。これが原文を引用されにくい原因かも。いや、英語に熟達した人には難しくないかもしれないけど、私や辞書が必要だった。(^_^;)  attainという単語は分るから最後のはかろうじて推測できるけれどね。

あみ2011年07月04日 19:04
動物のお医者さんで、冬場に構内の雪道で遭難したシーンがありましたが、
本当に遭難してもおかしくない広さなんですね。
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