ぐらんぴ日記

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拳銃の両手撃ち(1) 2010年12月28日07:25

スタスキー&ハッチ両手撃ち

アリーマッグロー片手撃ち

キムベイシンガー両手撃ち

スティーブン・ハンターの最新作『蘇るスナイパー』(扶桑社ミステリー文庫)を読んでいたら、こういう部分に突き当たった。

> 時と場所が変わると、これほど違うものか。拳銃の両手撃ちは、一九六〇年代から七〇年代にかけて遠い西海岸で考案され、テレビの『スタスキー&ハッチ』がきっかけとなって一般化したもので、この時代にはまだそんなものはなかったから、拳銃の扱いはすべて片手であり、このフィルムが映し出すそれは、とりわけ山賊じみたマイルスが大きな拳銃を右手で持ち……。(下巻186ページ)

「この時代は」というのがいつかというと、作品のなかでは1971年2月10日のこととされています。
監視カメラに撮影された銀行強盗事件の映像を見るシーンです。主人公である狙撃手、ボブ・リー・スワガーがその映像を見せられての述懐。(それにしても1971年の段階で、アメリカの銀行では8ミリ(たぶん)ムービーフィルムで営業時の監視画像を撮影していたんですかね。贅沢な話です)

作者のスティーブン・ハンターは日本で言えば大藪春彦でしょうか(というと万里さんが目を剥くと思うが)。銃器に対する執着、愛情という点に関してはね。この作品のなかでも銃器の描写は倒錯的なまでに過剰です。
それだけのガンマニアであるハンターがこう書いたんだから、それは間違っていないと受け取っていいでしょう。つまりテレビの連続ドラマ『スタスキー&ハッチ』が両手撃ちを拡げたと。

拳銃はもともと、片手撃ち(One-handed shooting)のために作られた銃です。西部劇の時代から両手撃ち(Two-hand shooting)という発想はありませんでした。
私は戦後の西部劇映画からギャング映画まで、ガンファイトのある映画テレビはずいぶん観てきましたが(何せガンアクションが好きなもので)、射手が両手で撃つシーンをほとんど覚えていません。もし両手で撃つ場面があったとしたら、それは負傷したガンマンか非力な女性や子供に限られたはずです。

ところが1970年代後半になって、大の男であってもツーハンドで射撃するシーンが登場するようになりました。これは凄い発想の転換です。両手で持つことが前提の日本刀を、片手に持つ二刀流の発明以上の革命ですよ。

このことが非常にハッキリと意識されて、ちょっとコメントを書いたのがコミュ『銃をもつ女』です。
サム・ペキンバーが監督し、スティーブ・マックイーンとアリー・マッグローが共演したガンファイト映画の名作『ゲッタウエイ』は1972年に製作されました。
これはのちにリメイクされ、アリー・マッグローの役をキム・ベイシンガーが演じました。監督は……誰だっけ?(笑)←つまり二番煎じに終わった駄作ってことですね。

このリメイク版は1994年。ほぼ20年近い歳月が間にあります。ですから映画のなかの描写はだいぶ違った部分があります。
私が注目したのは、アリー・マッグローの銃の撃ち方でした。
彼女はマックイーンの妻で、刑務所から彼を釈放してもらうため、ギャングの親分に身を任せるんですが、親分はそのことをマックイーンに告げようとする。夫の背後にいたマッグローはそんなことをバラされてはたまらないので、拳銃で親分を射殺してしまう。そして大金を持ってメキシコに逃げこもうとする。ここから『~』さんがいう「夫婦強盗乱射道行 」(めおとたたきドンパチのみちゆき)が始まるわけです。(笑)

そのマッグローの射撃シーン。完璧なワンハンドです。
現在の映画だったら非力な女性でもあることですから、必ずツーハンドで撃つでしょう。
実際、1994年リメイク版のキム・ベイシンガーは、これはまっとうな(今では)ツーハンドで親分を撃ち殺しています。

この時、ようやく「そうか、かつては拳銃はワンハンドで撃ってたんだ~」と改めて強く想起されたわけです。そこで「じゃあ、いつからツーハンドになったんだ」という疑問を抱いたのですね。
その疑問の回答が、上述の『蘇るスナイパー』の記述だったわけです。はい。
『スタスキー&ハッチ』は1975年にファーストシーズンが放映されました。これが全米の拳銃射撃シーンに影響を与えてツーハンド・シューティングが普及したのだとすると、1972年のオリジナル『ゲッタウエイ』でツーハンドが見られないのは、実に当然のことだったのです。

調べると、拳銃のツーハンドは1950年代から射撃のプロが提唱しはじめたようです。それは大の男でも扱いかねるような大口径、反動の大きな拳銃の登場で徐々に普及していったのでしょう。確かにワンハンドより的中率はいいです。ただし銃を抜いてから発射するまではワンハンドより遅い。ですから西部劇の抜き打ちガンファイトではやりたくても出来ないですね。

おっと~、ここで思い出した。アンソニー・パーキンスが新米保安官になる西部劇がありました。うーんと(ググる)1957年製作の『胸に輝く星』(The Tin Star )ですね。これはガンマンのヘンリー・フォンダが未熟な射手であるソニパキに銃の撃ち方を教えて一人前にしてやるという筋立てなんですが、フォンダは徹底して早撃ち否定論者なんですね。「ガンファイトでは早く抜くより正確に狙ったほうが勝つ」と教えこむ。その教えを守って、最後にソニパキは殺し屋ガンファイターを倒すんですが、その時、ひょっとしたらツーハンドで撃ったかもしれません。だとしたら史上初の西部劇ツーハンドファイターはアンソニー・パーキンスということになるでしょう。(この映画、 DVD でも見られないですね。確認のしようがない。面白い傑作西部劇でしたけどねえ)

――この書き込みは『銃をもつ女』コミュ、雑学BBSなどにも転載します。

(写真は上からテレビ映画『スタスキー&ハッチ』のツーハンド、オリジナル『ゲッタウエイ』のワンハンド、リメイク版『ゲッタウエイ』のツーハンド)
コメント
イイネ!(3) 陸奥のABE Mio 来栖美憂
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コメント

ももにゃん2010年12月28日 09:52
スタスキー&ハッチ懐かしーです~♪大好きでした!なんで“スタさん”の愛称で呼んでたんだろ…なんだか“やじさん、きたさん”なノリだな~…(^。^;)

Commander-紫弩2010年12月28日 10:37
70時代というとあの「ダーティハリー」もなのですが、ハリー刑事が.44マグナム(S&W M29 6.5in.)を常に両手で撃つ様になるのは「刑事スタスキー&ハッチ」の放映以後に公開された「3」からだったと思います。

とはいえ「刑事スタスキー&ハッチ」でも両手撃ちをするのはスタスキーだけで、相棒のハッチンソン(ハッチ)は.357マグナムのコルト・パイソン(6in.)を片手で撃っていました(苦笑)

『~』2010年12月28日 12:29
コメントしたいことがいっぱいありまするな(^-^;;

まず、アンソニー・マン監督の「胸に輝く星」(1957)のラスト・ショウダウンですが、確か、トニパキは、敵が抜いたとみるやストレッチ運動よろしく深く身を沈め(敵の弾は彼の状態があった位置あたりを通過したと思われる)、「二丁拳銃」を抜いて敵を倒しています。長身ですらりとした彼に良く似合う、なかなか美しいガンプレイだったと記憶します。
多分、スチルかグラブも見つかると思いますので、時間があるときにさがしてみます。

『~』2010年12月28日 12:48
「ダーティハリー」ですが、自分の記憶では、第1作(1971)から、両手で撃つ場面があったと思います。確か、冒頭の(恒例のw)路上の強盗退治の活劇場面です。M29を握った右手の手首を、左手で握って確保するやり方です。万一の記憶違いがあるかもしれませんので、これも時間のあるときに確認しますが、間違いないのは、映画館の看板やパンフのキービジュアルに、イーストウッドが両手でM29を構えているスチルが使われていました。
ttp://blogs.yahoo.co.jp/kurobe_kawano/archive/2009/11/24

「ダーティハリー2」(1973)には、市街地を模したシューティングレンジで若手警官達と腕を競う場面がありましたが、ハリーはワンハンドとツーハンズを使い分けていたように思います。それに対して、若手は両手構えが中心で、そのあたりはタテで世代差を表現していたようにも見えたと記憶します。

『~』2010年12月28日 13:08
西部劇における両手撃ち(ファニング、変形ファニング、ストック付拳銃を除く)というと、自分はとっさには「荒野の七人」(1960)しか思いつきません。ジェームズ・コバーン扮するナイフとピストルの名手が、馬で逃走する山賊を、仰角をつけた遠射で倒す有名な場面です。パンフには「拝み射ちの妙技」などと記されていました。見事に山賊を射殺するのですが「俺は馬を撃とうとしたんだ」と苦い顔をする、というまことにシブいシーンです。

この例はSAA遠射という特殊ケースですし、ハリー1は強力(マグナム)弾という設定に説得力を持たせるためともみえ、一般普遍にハンドガンは両手で構えた方が良いというイメージは、確かにまだ普及していなかったかもしれません。しかし、ハリー2では、ニューウェーブたちの所作に、すでにそのあたりが表現されていたような気がします。

『~』2010年12月28日 13:36
さて、ここからさらに、記憶頼りの半分ヨタ話になりますがw。
(時間のあるときにちゃんと資料を調べれば、ウラは取れると思います。)

私が小学校高学年か中学生のときに買ったアヤしげな本「ガンと西部劇」(1961、宍戸錠・佐藤まさあき著)によればですなw、「FBIの教程」では、両手で拳銃を構えるコンバットシューティングを指導している、とありました。ちゃんと図解が載っておりまして、ハリーと同様に手首を握るやり方で、しかも必ず物陰に身を隠すようにと描かれている。リアルではありますが、あんまりカッコヨクないんですなw。
まあ、かなりアレな本ではありますがw、多分本当でしょう。とすれば、米国のFBIや警察関係では、遅くとも50年代、早ければその20年くらい前から(?・ここは山勘)、両手構えの実用コンバット射撃術を励行していたと思われます。映画やドラマにあまり普及しなかったのは、「画にならない」からじゃないかと思います。

しかし、よくもまあこんな昔の本の中のことを覚えているもんだと思いますが、ひとつどうしても思い出せないのが、「カップ・アンド・ソーサー」式の構えが、この本に載っていたかどうか。これがどうしても思い出せない。うむ。

『~』2010年12月28日 15:10
おおっと、思い出した!
「荒野の七人」といえば、スティーブ・マックィーンも、山村における山賊団とのバトルシーンの中で、両手射ちをやっていた。
ttp://tyanndora.blog50.fc2.com/blog-entry-360.html
パンフのキービジュアルを参照↑。
これは非常に「近代的」な印象のアクションで、史的にチェックすると若干フライング気味な、ウエスタンの中では浮いた感じなのかもしれません。
利き手の手首をウィークハンドで握っているようですね。

『~』2010年12月28日 16:06
同じような疑問を抱く人は、少なくないようです。
http://oshiete.goo.ne.jp/qa/3828611.html

『~』2010年12月28日 20:12
ふと思いついて、歴代ジェームズ・ボンドの中で、両手で拳銃を最初にホールドして撃ったのは誰だろう、とざっと見てみました。
ポスターやプレスシートに、拳銃を両手でホールドして掲載されたのは、どうやら「リビング・デイライツ」(1987)のティモシー・ダルトンのようです。彼以降は、珍しくありません。
http://www.jamesbondmm.co.uk/posters/tld-posters?id=001
しかし、劇中スチルなどをあさってみますと、「ユアアイズ・オンリー」(1981)でロジャー・ムーアがこんな射撃をしている模様。
http://www.lefrelonvert.com/wp-content/uploads/2010/08/foryoureyesonlyjames-bond-007-for-your-eyes-only-20081024042144181.jpg
コネリーやレイゼンビーは未チェックですが、歴代ボンド映画をチェックしていくと、エンタメの世界で両手射撃が一般化した時期を特定できそうな気がします。
1981年というのは、スタハチとの関係性から、良い線かもしれません。

ぐらんぴ2010年12月29日 09:58
『~』さんの怒濤の書き込みに圧倒されて、ちょっと何を書いていいのやら。(^_^;)
とりあえず……。
『胸に輝く星』のラスト・シーンのご指摘ありがとうございました。
とにかく両手を使ったところは覚えてた。(笑)
二丁拳銃だったんですね。半分忘れてた。

あと、スティーブン・ハンターの略歴を見たんですが、ちょうど70年代の初め、彼はミリタリーサービスについているんですね。実践部隊ではなくオールドガードという、大統領を護衛する親衛隊のような部隊で軍務をこなした。陸軍ですから当然、コンバットシューティングの訓練も受けたでしょうが、ワンハンドで教えられてツーハンドは教えられなかった。陸軍ではまだツーハンドを採用していなかったんでしょう。
で、スティーブン・ハンターがどうやってツーハンドを知るようになったかを『悪徳の都』で知ろうと、目下注文しています。
彼が書いているように、50年代、最初に提唱したジェフ・クーパーというのが西海岸で、ツーハンドは西海岸から、しかも警察、FBIなどのコンバットシューティングとして採用されていった、というのが「筋」なんでしょうね。東海岸、ワシントンで軍務についていたスティーブン・ハンターにとって、当時はまだワンハンドが常識だったんでしょう。
今日明日にも『悪徳の都』が届きますんで、そのなかでどう説明されているか検証してみたいと思います。

縛師ダディ2011年01月01日 09:11
現在、日本の警察では射撃はツーハンドが基本です。(^-^)
片手打ちは、ほとんど練習しませんね(^^;
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