ぐらんぴ日記

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ゲラとどう向き合うか  2010年11月09日05:07

●ゲラとどう向き合うか編集する2010年11月09日05:07

ゲラ刷り機

ゲラ

このところ、エッセイスト岸本葉子さんのブログを楽しく読んでいます。これは「連載ゲラ」というタイトル。

http://www.kishimoto-fan.com/blog/2010/11/post-32.html

ゲラというのはゲラ刷りということで、校正のために「とりあえず印刷してみました」というプリントアウト。
語源はgalleryから来ているという説が。
試し刷りで二部とか三部とかしか必要ないわけですから、本格的な印刷機を回すわけにはゆきません。とりあえず組んだ判型を小さな手動の印刷機にかけ、手作業で印刷しました。この試し刷り用の小さな手動印刷機を置いてある場所が、工場のなかの、大型印刷機の置かれている横手の回廊(gallery)だったから、そこから「ギャラリー刷り」と呼ばれ、それがゲラ刷りとなったといいます。まあ説の一つでしょうが。
(現在では、DTP製版ですから、印刷機を回すまでもなくパソコンのプリントアウトで用が済みます)

もの書きは、スピードが要求される新聞、週刊誌の記事以外は、書いたもののゲラ刷りを見せられて「これでいいですか」と確認を求められます。(著者校といいます)
作家の原稿であれば、まず編集者やプロの校正者、校閲者が目をとおして、疑問点を指摘して「ここは●●とあるけど××ではないか」などと細かく添え書きをつけて問い合わせてもきます。
中には「どうしても繋がりません。一ページ飛ばしてません?」とか。(^_^;)

これに対処する作家の側の、校正のやりかたに、統一した方式というのは無いのですね。

私は某S社で記者をやっていた関係上、原則的に校正のやりかたは、某S社方式(それも雑誌に限る)に則っているのですが、それは書籍の校正のやりかたとも微妙に違って、今でも苦慮するところです。
新しくおつきあいのできた出版社からゲラが送られてくると、「ははあ、ここはまた違うんだな」と、いろいろ発見があって楽しいものです。(笑)

そして、これが大変に面白いところなのですが、

誰もゲラ刷りをどう校正するか教えてくれない。

のですね。(たまには教えてくれるところがあるかもしれませんが)
それで、新人さんなんかはかなり苦労するかもしれません。まあ、じっくり見てゆけば、だいたいやりかたは分かってくるものですが。

岸本葉子さんのこのブログでは、彼女なりのやりかたが書かれていて、私は非常に興味ぶかく読みました。

私は何度も書いているように、このゲラに手を入れるのが苦手です。
というのは、一度手を入れてしまうと、際限なく書き直してしまうということになるんですね。それが一つ。
もう一つは、校正者の指摘が時に作家の価値観に対する疑義提出という形になる(つまりケチをつける)ように思えることがあり、腹の虫の居所が悪い時など激怒することがあります。要するに精神衛生に悪い作業ということなんですよ。(笑)

私が「夢見山市」という舞台を作るにあたっても、何度か「こういう架空の都市はわざとらしいから実在の都市名にしたらどうですか」という指摘を受けましたしね。最近でもあるんですよ。そこで教えてあげるのが双葉文庫の「夢見山短編集」とか「汐見短編集」なんですが。(笑)

しかし、激怒してばかりではいけないんですね。
編集や校正のひとの目は「作家とは違った目で見る」から価値があるんです。自分ではこうだと思っていたことが違っていたという「思い込み」による誤りは多々あるものです。それが印刷されてしまえば恥をかくのは著者です。
文字ひとつだって自分のほうがヘンに覚えていたということがある。完璧な文章なんか書けていないのだから、編集が読み、校正が読むことでだんだん完璧になってゆく。そのことがだんだん分かってきます。おかげで最近はケンカしなくなりましたです。(笑)

まあモノ書く人は手元に「校正マニュアル」のような本を一冊置いておくといいかもしれません。

(画像左は、活版印刷のゲラ刷り機。小さいです。画像右はゲラ刷りの束。こういうのがドンと出版社から送られてきます)

イイネ!(1) 寿@麻屋ロープ沖縄
==========

コメント

ぐらんぴ2010年11月09日 05:59
しかし考えてみると、SM雑誌でデビューして数年間は、校正ゲラになんかお目にかかったことはありませんでしたね。編集が勝手に手を入れ、違った感じの作品にしちゃうことも。マイナーなジャンルの無名な作家には「著者校する権利」もなかったのですよ。(;_;)

今では雑誌の短編だと「ゲラをお送りします」と言われても「あとはお任せしますので、編集さんの判断で校正してください」と言うことが多いですね。(笑)

ぐらんぴ2010年11月09日 06:07
今は使わないんですが、以前は「絶頂」という名詞をサ変動詞にして「絶頂する」というふうに使っていました。これをやったのは私ぐらいなもので、校正さんからは「これは誤用です」という指摘が雨あられ。(笑)
そのたびに「これは私の主義なんです」と突っぱねてきましたが、私以外に使う人が出てきたんでしょうか。やがてあまり言われなくなりました。そうするとつまらなくなって、(^_^;) いまはサ変動詞扱いせず、ふつうに「絶頂に達した」と書くようにしています。

最近、幻冬舎で復刻された「絶頂する」多用時代の作品は、校正者さんが何も言わないので、少しばかり寂しい思いを。(笑)

のぶ(nob)2010年11月09日 10:44
ゲラを手にすると「もの書き(のハシクレ)になった」という実感が湧きます。校正のやり方はぼくも習ったことがありませんが、なぜか子供のころに「校正記号」などを見たことがあったので、使ってみたりします。どこかで覚えて「トルツメ」とか書いたりしたけど、普通は単に線を引いて消すだけでわかりますよね。

「ゲラ」の起源にはいろいろな説があるんでしょうね。活字を入れておくケースか何かが「ガレー船」という船の形に使ていたとか。

電子書籍でも編集は必須なのだけど、だんだんとゲラを刷らなくなるでしょうね。ぼくは、原書をPDFでもらって翻訳結果もメールするだけというパターンですが、それでも校正は「紙」が好きです。垂直の画面でものを読むのはどうも落ち着かない。


ふう@鴨2010年11月10日 12:29
>「校正マニュアル」のような本

これは、実際にどんな書籍があるでしょうか?
私はAdobe InDesignに付属していたものを見ています。
もうちょっとちゃんとしたものが欲しいと思っているのですが、
実務的に記号やなんかが書いてある「校正のやりかた」の本か、
辞書みたいに分厚い、どこからどうやって参考にするんだ?!っていう本
2種類しかまだ見たことありません。その真ん中くらいの程度のものが欲しいのです。
良さそうなものがありますでしょうか。。。
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